基礎から学ぶ薄毛と抜け毛の対策

2025年2月
  • AGA治療で生え際に産毛が生える意味

    AGA

    AGA(男性型脱毛症)の治療を開始し、しばらくすると生え際に細くて短い産毛が生えてくることがあります。これは、治療が効果を発揮し始めている可能性を示す、非常に喜ばしい兆候の一つと言えます。AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞に作用し、毛髪の成長期を短縮させ、毛包を徐々に小さくしてしまうことで進行します。その結果、髪の毛は太く長く成長する前に抜け落ち、細く短い産毛のような状態になってしまいます。AGA治療薬、例えばフィナステリドやデュタステリドといった内服薬は、このDHTの生成を抑制する働きがあります。また、ミノキシジル外用薬は、毛母細胞を活性化させ、血行を促進する効果があります。これらの治療によって、DHTの影響で休止期に入ってしまっていた毛包が再び活性化したり、成長期が延長されたりすると、新しい髪の毛が産毛として生え始めるのです。この生えてきた産毛は、治療開始前の弱々しい産毛とは異なり、「成長の可能性を秘めた産毛」と言えます。治療を継続することで、この産毛は徐々に太く、長く、色も濃いしっかりとした髪の毛(硬毛)へと成長していくことが期待できます。ただし、産毛が生えてきたからといって、すぐに治療を中断してしまうのは禁物です。産毛が硬毛へと成長するには、さらに時間と継続的な治療が必要です。また、AGAは進行性の脱毛症であるため、治療をやめると再びDHTの影響を受け、せっかく生えてきた産毛がまた弱々しくなったり、抜け落ちてしまったりする可能性があります。したがって、AGA治療で生え際に産毛が生えてきた場合は、それを治療効果の現れと前向きに捉え、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが非常に重要です。産毛の成長を促すためには、薬物治療だけでなく、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理といった生活習慣の改善も併せて行うと、より効果的でしょう。

  • 脂漏性脱毛症は自然治癒するのか

    かつら

    脂漏性脱毛症に悩む方の中には、「薬を使わずに自然に治らないだろうか」と期待する方もいるかもしれません。しかし、残念ながら脂漏性脱毛症が完全に自然治癒することは稀であり、多くの場合、適切な治療やケアを行わなければ、症状が慢性化したり、悪化したりする可能性があります。脂漏性脱毛症の主な原因は、頭皮の皮脂の過剰分泌と、それを栄養源とする常在菌「マラセチア菌」の異常増殖による頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎)です。これらの要因が改善されない限り、症状が自然に良くなることは期待しにくいのです。軽度な症状であれば、生活習慣の改善(食生活の見直し、十分な睡眠、ストレス軽減など)や、適切なシャンプー選び、正しい洗髪方法といったセルフケアによって、症状が緩和されることはあります。例えば、脂質の多い食事を控えたり、睡眠不足を解消したりすることで、皮脂の分泌が正常化し、マラセチア菌の増殖が抑えられる可能性はあります。また、頭皮を清潔に保つことで、炎症の悪化を防ぐこともできるでしょう。しかし、既に炎症が強く現れていたり、抜け毛が進行していたりする場合には、セルフケアだけでは改善が難しく、専門医による治療が必要となることがほとんどです。特に、マラセチア菌のコントロールには、抗真菌薬の使用が効果的であり、これは医師の処方が必要となります。また、炎症を抑えるためには、ステロイド外用薬が必要になることもあります。脂漏性脱毛症を放置しておくと、炎症が慢性化し、毛根へのダメージが蓄積され、薄毛が進行してしまう可能性があります。また、かゆみによって頭皮を掻きむしってしまうと、さらに炎症が悪化したり、二次感染を引き起こしたりするリスクもあります。「自然に治るかもしれない」と期待して放置するのではなく、症状が軽いうちに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが、早期改善への近道となります。そして、治療と並行して、生活習慣の見直しや正しい頭皮ケアを継続することで、再発を防ぎ、健康な頭皮環境を維持していくことが大切です。