10代で抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりする「若はげ」の症状が現れた場合、その原因として最も考えられるのが、男性型脱毛症(AGA)の早期発症です。AGAは、一般的に20代以降に発症することが多いとされていますが、遺伝的素因が強い場合や、男性ホルモンの影響を受けやすい体質の場合、10代後半からでも症状が現れることがあります。AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素の働きによって、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞にあるアンドロゲンレセプターに結合することで、毛髪の成長期が短縮され、毛包が徐々に小さくなっていく進行性の脱毛症です。特に、額の生え際(M字部分)や頭頂部から薄毛が始まるのが特徴です。10代でAGAの兆候が見られた場合、放置しておくと症状は徐々に進行していく可能性が高いため、早期の対策が非常に重要です。まず、皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることが不可欠です。医師は、問診、視診、マイクロスコープ検査などを行い、本当にAGAなのか、どの程度進行しているのかを判断します。AGAと診断された場合、10代の治療は慎重に行われます。成人向けのAGA治療薬(フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬)は、10代への適応が認められていない場合や、副作用のリスクを考慮して処方されないケースもあります。そのため、まずは生活習慣の改善指導が中心となることが多いです。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理、正しいヘアケアなどを徹底することで、頭皮環境を整え、AGAの進行を遅らせる効果が期待できます。場合によっては、ミノキシジル外用薬の使用が検討されることもあります。ミノキシジルは、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果があり、10代でも医師の判断のもとで使用されることがあります。10代のAGAは、本人にとって大きな悩みとなりますが、早期に専門医に相談し、適切なアドバイスと指導を受けることで、進行をコントロールし、将来の髪を守るための対策を講じることができます。