基礎から学ぶ薄毛と抜け毛の対策

2025年9月
  • 円形脱毛症と診断された私が皮膚科で受けた保険治療

    円形脱毛症

    ある朝、シャワーを浴びていると、指に信じられないほどの量の髪が絡みつきました。鏡で後頭部を確認すると、そこにはくっきりと500円玉大の脱毛部分ができていました。これが、私の円形脱毛症との闘いの始まりでした。パニックになりながらも、すぐに近所の皮膚科を予約しました。診察室で医師は私の頭部を丁寧に確認し、「典型的な円形脱毛症ですね。ストレスや疲れが引き金になることが多いですよ」と静かに告げました。その診断に少し安堵したのを覚えています。原因不明の恐怖から、治療法のある「病気」なのだと認識できたからです。そして、医師から「これは病気の治療ですから、もちろん保険が適用されます」と聞き、経済的な不安も和らぎました。その日から、処方されたステロイドの塗り薬を毎日患部に塗る治療が始まりました。最初の1ヶ月は変化がなく、本当に治るのだろうかと不安な夜を過ごしました。しかし、2ヶ月目を過ぎた頃、脱毛部分にうっすらと産毛が生え始めていることに気づいたのです。それは本当に細く、頼りない毛でしたが、私にとっては大きな希望の光でした。通院のたびに医師は励ましてくれ、保険適用のおかげで診察と薬代を合わせても毎回千円程度で済みました。もしこれが全額自己負担だったら、私は治療を続けられなかったかもしれません。半年後、脱毛部分はすっかり元の髪で覆われました。この経験を通して、私は薄毛の悩みを一人で抱え込まず、まずは専門医に相談することの重要性を痛感しました。そして、日本の医療保険制度のありがたさを身をもって知ることになったのです。

  • 専門医が語る髪育注射の現在と未来展望

    AGA

    今回は、毛髪再生医療の第一人者である山田医師に、髪育注射の最新事情についてお話を伺いました。先生、最近の髪育注射のトレンドはどのようなものでしょうか。「はい。かつては成長因子を注入するというのが一般的でしたが、最近ではそれに加えて、患者様ご自身の血液から高濃度の成長因子を抽出して用いるPRP療法を組み合わせるケースが増えています。より体に優しく、パーソナライズされた治療が可能になってきたと言えますね」。どのような方に特に髪育注射をお勧めしたいですか。「AGAや女性のびまん性脱毛症はもちろんですが、私が特に注目しているのは、従来の治療法では効果が出にくかった方々へのアプローチです。例えば、円形脱毛症の一部や、抗がん剤治療後の脱毛に悩む方々に対しても、髪育注射が回復をサポートする有効な手段となり得ることが分かってきました。諦めかけていた方にこそ、新たな希望として検討していただきたいですね」。今後の技術的な展望についてもお聞かせください。「将来的には、iPS細胞などの幹細胞技術を応用した、さらに根本的な毛髪再生へと進化していくでしょう。毛根そのものを再生させる、いわば『髪の種をまく』ような治療が現実のものとなる日も、そう遠くないかもしれません。現在の髪育注射は、その未来へと繋がる非常に重要なステップにある治療法だと考えています。大切なのは、正しい知識を持ち、信頼できる専門医に相談すること。一人で悩まず、ぜひ一度、医療の力を頼ってほしいと思います」。