基礎から学ぶ薄毛と抜け毛の対策

2025年11月
  • 季節の変わり目に髪の毛が抜けるのはなぜ

    抜け毛

    「最近、特に秋になると抜け毛が増える気がする」。そんなふうに感じたことはありませんか。実は、季節の変わり目、特に春と秋に抜け毛が増えるのは、多くの人が経験する自然な現象であり、過度に心配する必要がないケースも多いのです。その背景には、いくつかの生物学的な理由と環境的な要因が考えられます。まず、動物の「換毛期」の名残であるという説があります。犬や猫などの動物が、季節の変わり目に毛が生え変わるように、人間にもその本能がわずかに残っており、季節に応じて髪の毛の生え変わりのサイクルが活発になるのではないか、という考え方です。次に、より科学的な理由として挙げられるのが、「夏のダメージの蓄積」です。夏の間、私たちの頭皮は、一年で最も強い紫外線を浴び続けています。紫外線は、頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、毛根にある毛母細胞にダメージを与えます。また、夏バテによる食欲不振で栄養が偏ったり、暑さによる寝苦しさで睡眠不足になったりすることも少なくありません。これらのダメージが蓄積し、その影響が約2〜3ヶ月後、つまり秋口になって抜け毛の増加という形で現れるのです。春の抜け毛も同様に、冬の寒さによる血行不良や、乾燥による頭皮へのダメージが影響していると考えられます。また、春は新生活のスタートなど、環境の変化によるストレスが抜け毛の引き金になることもあります。では、この季節性の抜け毛にどう対処すれば良いのでしょうか。まずは、これが一時的な現象であることを理解し、焦らないことが大切です。その上で、夏のダメージを回復させるように、栄養バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠をとることが基本となります。また、紫外線対策として、秋になっても日差しの強い日には帽子をかぶる、保湿効果のあるシャンプーで頭皮をケアするといったことも有効です。通常、季節性の抜け毛は1〜2ヶ月ほどで自然に収まります。もし、それ以上たっても抜け毛が減らない、あるいは細く短い毛が多く抜けるといった異常が見られる場合は、他の原因が考えられるため、専門医に相談することをお勧めします。

  • 治療を続けているのに抜け毛が増えた?考えられる原因

    AGA

    AGA治療を真面目に続けているにもかかわらず、ある時期から再び抜け毛が増え始めたように感じると、「薬の効果がなくなったのでは?」「耐性がついてしまったのか?」と不安になるものです。しかし、その抜け毛の増加が、必ずしもAGAの再発や治療効果の低下を意味するわけではありません。いくつかの他の要因が影響している可能性を、冷静に考えてみましょう。まず、AGA治療薬は、AGAによる抜け毛を抑制するものであり、全ての抜け毛をゼロにする魔法の薬ではありません。健康な人でも一日に50本から100本は自然に抜けています。特に、秋口など「季節の変わり目」には、一時的に抜け毛が増える傾向があります。これは、夏の間に浴びた紫外線のダメージや、動物の換毛期の名残とも言われ、AGAの進行とは関係のない生理現象です。数ヶ月で自然に収まることがほとんどなので、過度に心配する必要はありません。次に考えられるのが、「生活習慣の乱れ」です。薬を飲んでいるという安心感から、以前よりも不摂生になっていませんか。仕事のストレス、慢性的な睡眠不足、栄養バランスの偏った食事、喫煙などは、頭皮の血行を悪化させ、髪の成長を妨げる大きな要因です。薬の効果を最大限に引き出すためには、健やかな生活習慣という土台が不可欠です。薬の効果を、自らの不摂生が打ち消してしまっている可能性も考えられます。また、残念ながら「加齢」による自然な変化も無視できません。AGA治療は、年齢による全体的な毛量の減少や、髪質の変化を完全に止めることはできません。治療によってAGAの進行は抑えられていても、年齢相応の変化として、少しずつ髪が細くなったり、密度が低下したりすることはあり得ます。もし抜け毛の増加が続くようで心配な場合は、自己判断で悩まず、処方してくれたクリニックに相談しましょう。頭皮の状態を再評価し、原因を特定した上で、今後の対策を一緒に考えてくれるはずです。

  • 僕がAGA治療をやめて後悔した話

    AGA

    AGA治療を始めて2年、僕の髪は目に見えて改善した。かつて地肌が透けていた頭頂部は黒々とし、後退していた生え際にも産毛が力強く生えてきた。鏡を見るのが楽しくなり、僕はすっかり自信を取り戻していた。「もう、薬を飲まなくても大丈夫なんじゃないか」。そんな過信が、僕の心の中に芽生え始めたのはその頃だった。毎月の薬代も決して安くはなかったし、一生飲み続けることへの漠然とした不安もあった。そして、僕は医師に相談することなく、自己判断で薬の服用をぷっつりとやめてしまったのだ。最初の数ヶ月は、何も変わらなかった。「ほら、やっぱり大丈夫だったんだ」。僕は自分の判断が正しかったとさえ思った。しかし、半年が過ぎた頃、シャンプーの後の排水溝に、見慣れた黒い塊が再び現れるようになった。朝、枕につく抜け毛の本数も、日を追うごとに増えていった。気のせいだと思いたかった。でも、合わせ鏡で見た頭頂部は、確実に密度を失い始めていた。そして、服用中止から一年後。僕の髪は、悲しいことに、治療を始める前とほとんど同じ状態にまで戻ってしまっていた。失ったものを取り戻すのに2年かかったのに、それを再び失うのは、あっという間だった。後悔の念に苛まれた僕は、再びクリニックの門を叩いた。医師は僕を責めることなく、「また、ここから始めましょう」と静かに言った。再び治療を開始し、髪の状態が戻るまでには、また長い時間と、そして以前と同じだけの費用がかかった。あの時、自己判断でやめさえしなければ、こんな無駄な時間とお金を費やすことはなかったのだ。この経験を通じて、僕はAGAが決して完治する病気ではないことを、痛いほど思い知らされた。AGA治療は、ゴールのあるマラソンではなく、ペースをコントロールしながら走り続ける、長い旅のようなものなのだ。もし、治療の中断を考えている人がいるなら、僕のこの後悔を思い出してほしい。その一時の判断が、未来の自分をどれだけ苦しめることになるのかを。