AGA治療を真面目に続けているにもかかわらず、ある時期から再び抜け毛が増え始めたように感じると、「薬の効果がなくなったのでは?」「耐性がついてしまったのか?」と不安になるものです。しかし、その抜け毛の増加が、必ずしもAGAの再発や治療効果の低下を意味するわけではありません。いくつかの他の要因が影響している可能性を、冷静に考えてみましょう。まず、AGA治療薬は、AGAによる抜け毛を抑制するものであり、全ての抜け毛をゼロにする魔法の薬ではありません。健康な人でも一日に50本から100本は自然に抜けています。特に、秋口など「季節の変わり目」には、一時的に抜け毛が増える傾向があります。これは、夏の間に浴びた紫外線のダメージや、動物の換毛期の名残とも言われ、AGAの進行とは関係のない生理現象です。数ヶ月で自然に収まることがほとんどなので、過度に心配する必要はありません。次に考えられるのが、「生活習慣の乱れ」です。薬を飲んでいるという安心感から、以前よりも不摂生になっていませんか。仕事のストレス、慢性的な睡眠不足、栄養バランスの偏った食事、喫煙などは、頭皮の血行を悪化させ、髪の成長を妨げる大きな要因です。薬の効果を最大限に引き出すためには、健やかな生活習慣という土台が不可欠です。薬の効果を、自らの不摂生が打ち消してしまっている可能性も考えられます。また、残念ながら「加齢」による自然な変化も無視できません。AGA治療は、年齢による全体的な毛量の減少や、髪質の変化を完全に止めることはできません。治療によってAGAの進行は抑えられていても、年齢相応の変化として、少しずつ髪が細くなったり、密度が低下したりすることはあり得ます。もし抜け毛の増加が続くようで心配な場合は、自己判断で悩まず、処方してくれたクリニックに相談しましょう。頭皮の状態を再評価し、原因を特定した上で、今後の対策を一緒に考えてくれるはずです。