帽子を被り続けるとハゲるという噂は古くからまことしやかに囁かれていますが、これに対して医学的な観点から明確な答えを出すならば、帽子そのものが直接的な脱毛の原因になることはありません。むしろ、適切に使用すれば頭皮を紫外線や乾燥から守る強力な保護ツールとなります。しかし、なぜこのような噂が根強く残っているのかといえば、そこには「蒸れ」と「圧迫」という二つの要因が関わっているからです。まず蒸れについてですが、高温多湿な日本の夏場などに長時間帽子を被り続けると、頭皮の湿度が上がり、汗と皮脂が混ざり合って雑菌が繁殖しやすい環境が作られます。マラセチア菌などの常在菌が過剰に増殖すると、脂漏性皮膚炎などの炎症を引き起こし、頭皮環境が悪化して抜け毛に繋がる可能性はゼロではありません。しかし、これは帽子が悪いのではなく、こまめに脱いで換気を行ったり、帽子を清潔に保ったりしなかったことによる衛生管理の問題です。 次に圧迫についてですが、サイズの合わないきつい帽子を長時間被り続けると、頭皮の血管が締め付けられ、血行不良を引き起こすリスクがあります。髪の毛に必要な栄養と酸素は血液によって運ばれるため、血流が滞ることは育毛にとってマイナス要因です。特に締め付けの強いヘルメットやゴムのきついキャップなどは注意が必要です。しかし、これに関しても適切なサイズを選び、時々脱いでマッサージをするなどの対策を講じれば回避できる問題です。一方で、帽子を被らないことによるデメリットの方が深刻であるという見方もあります。頭皮は体の中で最も太陽に近い場所にあり、紫外線のダメージを直に受けます。紫外線は頭皮の細胞を破壊し、光老化を促進させ、毛母細胞の働きを弱めてしまいます。これを防ぐ意味で、帽子の着用は薄毛予防において推奨されるべき行為なのです。結論として、帽子はハゲる原因ではなく、使い方次第で髪を守る盾にもなれば、頭皮を痛めつける凶器にもなり得る道具だということです。正しい知識を持ち、清潔さと適度な開放感を意識しながら活用することが、賢い薄毛対策と言えるでしょう。
帽子を被ると禿げる説の医学的な真実